SSH指定Ⅰ期5年目(2024年度)
「より良い未来創造に挑戦し続ける科学技術系グローバルリーダーの育成」を目指します。
~8月1日(月)~
①土盛海岸
土盛海岸に訪れた。小さなサンゴが砂とともに浜に流され、岸がきれいな弧を描いていた。砂浜とリーフの間には急に深くなるところがあった。
奄美海上保安部交通課の村井先生より、離岸流について講義や水難事故の対処法を教えていただいた。離岸流は2m/s以上で流れているものもあり、それはオリンピックの競泳選手に匹敵するそうだ。とても抗って泳げるものではない。そのため、もし離岸流で沖に流されたときは、沿岸と平行に泳いで岸に向かって流れる向岸流にのったほうが良いそうだ。離岸流の被害に会うのはサーファーが多いと聞いた。沿岸がくぼんでいたり、沿岸と沖にゴミがたまっていたり、砕波があったりしたときには、そこで離岸流が発生している可能性が高いようだ。(1年)
~離岸流に流されたときはどうしたらいいか~
まず、絶対にやってはいけないこととしては、流れに逆らうことである。流れに逆らったとしても、波が強く押し戻されることが多い。
しかし、離岸流の幅は少ししかなく20メートルしかないことから、流れに逆らうことよりも、横に少しずつ、体力をあまり使わずに少しでも多く温存しながら体力をあまり使わずに泳ぐことが大切。仰向けで、カエルのように泳ぐやり方も効果的。まずは離岸流から脱することが良いとされている。(2年)
②枕状溶岩
最初は溶けている溶岩を想像していたが、実際に調べたり見てみたりすると岩石だった。岩石は特徴的で穴が表面に多数空いていた。ほとんどの岩石は白っぽい色をしていて、少しだけ水の影響で黒っぽくなっていたり緑っぽくなっているものがあった。岩石に空いている穴は雨や表面に集まっていた気体が抜けた跡などと考えた。(1年)
~8月2日(火)~
③金作原原生林
亜熱帯気候に含まれる奄美大島には1307種の植物が分布し、国立公園となっている金作原原生林には多くの希少種や固有種がいる。1200万年前、大陸の一部であった奄美は地殻変動によって大陸から切り離され、動植物が取り残された。閉鎖された環境の中、動植物が進化を遂げたことによって多くの希少種、固有種が存在する。この多くの豊かな森は出血毒をもつハブがいることで人間がむやみに入るのを防いできたことで守られてきたといわれている。また、ハブの駆除を目的としてマングースが放されたが、アマミノクロウサギやアマミイシカワガエルなどの奄美大島に生息する動物が捕食された。現在はマングースの防除により在来種の回復が確認されている。今回の金作原原生林では奄美固有の動植物を観察できた。(2年)
④マングローブ
マングローブではカヌーに搭乗してマングローブに接近して観察を行った。
私はカヌーを初めて操作した。はじめは難しく感じたが、しばらくすると普通に操作できるようになった。(1年)
⑤湯湾岳
湯湾岳では金作原と同様に奄美大島固有の動植物が多く存在している。私はアマミノクロウサギの巣穴を観察することができた。想像していたより深い穴を掘っておりウサギの力を知ることができた。(1年)
~8月3日(水)~
⑥奄美海洋展示館
奄美海洋展示館にいる生物を観察した。魚など海中の生物はからだの海底に向く側が白く、海面に向く側に模様や色がついている。海底から見て光に溶け込むためにからだは白く、海上から見て海に溶け込むために色や模様がついていると考えられる。奄美海洋展示館のカメもそのような色の付き方をしていた。ただ、カメは生息地が河川や沼、池などだから岩に溶け込むような色、模様になっているのではないかとも考えられる。(1年)
⑦ソテツ群生地
ソテツ群生地を観察し,バスの運転手の方にソテツについて説明していただいた。
・ソテツは雄株と雌株に分かれる。
・ソテツの実には毒があり、生では食べることができない。
※食用は水に浸して毒抜きをする。
この観察後,ソテツの実に含まれる毒などについて調べた。ソテツは食糧難などの際の代用植物として育て食べられていたが、毒抜きが不十分なソテツを食べて死者が出るなどの被害を出した時期があり、ソテツ地獄と呼ばれたとのことである。(2年)
⑧奄美クレーター
このクレーターは3kmという巨大なクレーター。過去の調査で砂浜から何回も小さな鉄の玉が発見され、また湾の内外の海底では隕石が落ちた時のくぼみが18ヶ所確認されているらしい。さらに、赤尾木湾と太平洋を仕切っている陸地の両端のがけのした部分から貝の跡が発見されたことから昔は海であったと考えられている。そのため、昔、湾の両側は別の島で、隕石が落ちたことにより埋め立てられ、陸続きになったと考えられている。直径3kmという大きさと2つの島が1つになったということに驚嘆するとともに広大さを感じた。(1年)
今回の奄美研修では、生徒達が様々な「本物」を体験することができたようです。この研修を通して、更に自然を好きになり、好奇心を持って、研究に取り組んでほしいと思います。
1年生の夏季課外に欠かせないのは、SS探究Ⅰの内容を深める「Konan Science Week」。
-通称、KSWです。
1学期に学んできたデータ収集やキーワード検索の仕方を身につけるべく,夏季課外の間,毎日2コマを使って研究に役立つ様々な活動を行います。
前半の課外中に取り組んだことは↓
・論理的・批判的思考力養成講座
・統計講座
・統計グラフコンクールポスターのテーマ決め etc...
普段の授業よりも深く、研究に必要な知識・技能を学ぶことができました。
前半の夏季課外の最終日となる7月29日(金)午後からは、鹿児島大学の研究室訪問。
写真上:志水教授の研究室は、農学部所有の農園を見ながら集合
2~3人で研究室に直接うかがって、研究の内容や方法、学生生活について教えていただきました。
写真上:宮田准教授の研究室では、実際の器具(クリーンベンチ)で作業体験!
写真上:坂巻准教授の研究室で、害虫学について話を聞く生徒
大学で行われている研究の高度な内容に、生徒たちは一生懸命目や耳を使って理解しようとしていました。
「研究で失敗してもくじけないメンタルを、どうやって身につけたらいいか」。
質問コーナーで出てきたとある1年生の疑問に、宮田准教授は研究者としての姿勢をお話してくれました。
「研究の8割は失敗する。ではなぜ失敗したのか、単に事実を見つめて分析して、次の成功に繋げていく気持ちが大事です。」
夏季課外後半では、いよいよミニ課題研究に取り組みます。
今回の研究室訪問で、研究する上での思考力や方法についてたくさん学びがありました。
1年生諸君、失敗しても次の成功に繋げる気持ちを持って頑張ろう!
6月24日(金)午後、SSH事業の一環である「研究を知る講座」を1年生対象に行いました。
これは、大学の先生の専門的な講義を聴くことで科学の奥深さや面白さを知り、科学への興味関心を高めて、科学に対する視野を広げることを目的としています。また、進路意識を高めることも目的としています。
今回、鹿児島大学から9人、鹿屋体育大学から1人の計10人の先生をお招きしました。
生徒たちは、10講義の中から興味関心のあるものを2つ選択して聴講しました(1講義50分)。
講義テーマ・講師及び講義の様子は、次の通りです。
1「マウスの音声コミュニケーションから探る脳と行動の研究」
菅野康太先生(鹿児島大学法文学部准教授)
2「居住学について」
黒光貴峰先生(鹿児島大学教育学部准教授)
3「理学部から医薬品開発を考える 〜タンパク質から作られるバイオ医薬品〜 」
伊東祐二先生(鹿児島大学理学部教授)
4「魚類の神経行動学」
池永隆徳先生(鹿児島大学法理学部准教授)
5「超音波を使った化学のモノづくり研究」
二井晋先生(鹿児島大学工学部教授)
写真下:超音波の作用を実感する生徒
6「豪雨時の斜面崩壊発生予測システムの開発」
酒匂一成先生(鹿児島大学工学部教授)
7「酵母が教えてくれること」
玉置尚德先生(鹿児島大学農学部教授)
8「動物の遺伝子操作とその応用」
有村卓朗先生(鹿児島大学共同獣医学部教授)
9「魚の行動解析を利用した次世代の創薬研究」
塩﨑一弘先生(鹿児島大学水産学部准教授)
写真下:塩﨑先生の研究に欠かせない「ゼブラフィッシュ」に見入る生徒
10「卓越したスポーツパフォーマンスの探究」
中本浩揮先生(鹿屋体育大学体育学部准教授)
どの講義でも、生徒たちはメモをとりながら熱心に耳を傾けていました。
写真下:どの生徒も真剣です。
ある生徒は、「どのお話も初めて聴くことばかりでとても興味深かったです。また、大学での学びの一端を知ることができました」と感想を述べてくれました。
生徒の皆さんは、今回の講義で学んだことを今後の課題研究や進路研究にいかしましょう。
貴重な講義をしていただいた先生方、ありがとうございました。
毎週金曜日7限、課題研究の基礎について学んでいる1年生ですが、先輩たちが高校時代に取り組んだ課題研究や経験を知り、今後どのようにいかすか考えることを目的としています。
今回講話を行なってくれたのは、九州大学工学部1年・小村貫将さんと関西大学環境都市工学部1年・川上花さんの二人(ともに73期)。リモートで1年生に講話してもらいました。
小村さんは、甲南生時代、「マップによる台湾人観光客のリピーター増大」というテーマで研究。これは甲南1年時に選出され参加した海外研修プログラム「学び台湾」での経験がもとになったとのこと。
鹿児島県に観光で来る外国人で最も多い台湾の方々に、リピーターになってもらうためにはどうしたらよいか。アンケートや実地調査を行い、実際にSNSを通して使える観光マップを自分で作成するなど、社会科学の観点で取り組んだ研究でした。
川上さんは甲南生時代、「酸化チタン光触媒による揮発性有機化合物の分解反応」というテーマで研究。「九州大学未来創成科学者育成プロジェクト(QFC-SP)」に応募・採用され、九州大学で専門的な機材を使って行なった実験や検証結果を披露。
テーマとした大気汚染物質の除去方法について、高校時代取り組んだことが大学進学につながり、今後も研究を続けると話してくれました。
2人は、的確な説明と見やすいスライドで、話してくれました。1年生は皆、メモを取りつつ食い入るように聴き入っていました。
2人は「課題研究は簡単には進まないし、失敗や苦労が多い。でもそれにめげず、まずはやってみて。何事もチャレンジすることが大切」と1年生にエールを送りました。
先輩の研究を聴いて、課題研究に対する意欲、情熱が高まったことと思います。1年生、期待しています!
貴重な講話をしてくださった、小村貫将さん、川上花さん、ありがとうございました!